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ワークショップ内容のご紹介

今回のPt. ウダイ・バワルカール氏の来日ツアー『Darshan』では、京都および東京にてドゥルパド声楽のワークショップを企画しています。

京都は4月21日、東京は4月24日、双方共にワークショップ1「ドゥルパド・ベーシック」およびワークショップ2「ラーガとターラ」という2部構成から成り立っていますが、これらのテーマは、おおよそのものであり、具体的な内容はウダイ氏に一任していますので、ワークショップ1でも何がしかのラーガが取り上げられる事もあり得ます。

ワークショップ1「ドゥルパド・ベーシック」

ドゥルパド声楽を聴いた人がまず魅了されるのは、声の質ではないでしょうか。自然な声でありながら力強い静けさを内包し、深みのあるしかも立体的で自由自在な声。インドの他の声楽様式と比べて発声に関して独特で厳密なドゥルパド声楽は、ナーダ・ヨーガ(音のヨーガ;厳密にはクンダリニー・ヨーガに分類される)がベースになっています。 その発声法は、ハートセンターを中心に自分自身の自然な声・ナチュラルヴォイスでの発声です。この発声法を深めていくことをドゥルパド声楽家は『ヴォイス・カルチャー』として大変重要視しています。また、その歌い回し方は、ヨーガ理論におけるチャクラやナディーに関連し、あたかも声を気のボールのように扱うような独特のスタイルであり、まさにドゥルパドらしいゆったりと歌う瞑想的な部分にその魅力が強く出ています。このようなドゥルパド歌唱は、聴き手の身体とも独特な共鳴現象を引き起こしていきます。ワークショップ1では、このドゥルパドのヴォイス・カルチャーや歌い回しのテクニックなどをウダイ氏から学びます。

現代人の声には様々な心理的・肉体的要因から覆いがかかっていると言われています。 また、自分自身の声が好きではないという方が、特に日本人女性に多いようです。その声の覆いを取り除いて行くこと。自分の素顔の声と出会うこと。自分の声を磨いていき、自身の声に肯定的になること。この体験は、背後にある心理的要因や、肉体的要因でさえをも癒し、本来の自己を探求することに繋がっていく可能性さえあるでしょう。

また、ドゥルパド声楽のワークショップは、声や表現の精妙な領域にまで『聴く』能力を養います。特に北インド古典音楽は世界の中でも稀な一音の表現を追求した音楽でもあり、ドゥルパドはその中でも最も微細で精妙な旋律を紡ぎだす音楽です。その精妙な音の体験は瞑想的でありながら、創造的なダイナミズムもまとっています。深めていけば瞑想ともなりえる『聴く』という能力を養うこと、耳を育てることもこのワークショップの魅力の一つです。

またドゥルパドに限らず歌唱芸術で重要なことは呼吸です。ドゥルパドの歌唱表現は、深い呼吸を自然に身に着けることを要求します。なぜならその繊細でゆったりとした旋律を紡ぎだすには、自然で自由な深い呼吸を行う必要があるからです。この呼吸の技は対面で旋律を示して頂く中でしか身に着けることは難しく、このワークショップで是非とも体得していただけたらと思うことの一つです。

以上、ドゥルパド声楽のワークショップから汲み取れることは、単なる声楽を超えた深い体験となるでしょう。身体的にも精神的にも最も充実しているであろう時期のドゥルパド声楽家ウダイ・バワルカール氏から今回、日本で教えを受けられる機会は大変貴重です。

ワークショップ2「ラーガとターラ」

このワークショップでは、ウダイ氏にラーガをひとつ選んでいただいて、そのラーガを通して、さらにドゥルパド声楽の深みを体験していきます。太鼓パカーワジのプラタープ氏にも加わっていただき、インドのリズムを体感できることも魅力のひとつです。

インドで最も古い様式であるドゥルパドは、古来からのラーガのテイストをよく残していますし、ドゥルパド様式でのラーガ即興法など、すでにインド音楽を学ばれている奏者の方々にも大変興味深い内容でしょう。