日本ドゥルパド協会について
近年、インドと日本は経済交流において、より密接な関係になってきました。来日されるインド人技術者やビジネスマン、観光で日本を訪れるインドの方々も数年前と比べると格段に増えています。また、2015年にインドのモディ首相の提唱により国際連合総会において、国際ヨガの日が定められて以降、日本は空前のヨガブームに沸いています。実際にインドの方に接する機会も増え、インド文化や思想がより身近なものとなってきた現在、インド文化に関心を持つ日本人も多くなってきました。インドの方々には、独特の精神文化があり、これからの交流をはかる為にもインド文化を理解することは大切であると思われます。
インドの精神文化を表すものとして芸術方面で突出しているのが『サンギート』と呼ばれる古典音楽・舞踊などの上演芸術です。日本におけるインドの古典音楽シーンは、1960年代に若干の先駆者の方々が開拓、以降まだまだ日本では知られていない状況ですが、インド音楽を志す者はかなり多く、世界に通用する日本人演奏家も増えてきました。
「ドゥルパド」は、北インド古典音楽体系に含まれ、現代にまで続く様々な様式の中で最古の様式です。始まりは、個人の精神修養のための瞑想音楽として森の中の行者たちが修練していたものが、お寺で奉納されるようになり、のちにその高い芸術性のため宮廷音楽として取り上げられるようになりました。16世紀初頭のグワリオール宮廷にて現在の演奏形態が確立したと言われています。
このドゥルパドは、他のすべての様式の母体に相当する様式で、他の様式がドゥルパドとペルシア音楽が融合したものであるのに対し、純粋にインドで生まれ育まれた音楽体系です。背景に3種のヨーガ(音のヨーガ、信愛のヨーガ、智慧のヨーガ)があります。特に、ドゥルパドの真髄であると言われている智慧のヨーガは仏教の禅とほぼ変わりなく、仏教自体がインドから中国を経て渡来したものであること、禅の創始者は達磨大師というインド僧であったこと、また地域的にも歴史的にもドゥルパドと仏教には関わりがあることなどを鑑みますと、ドゥルパドは日本人の精神文化にも十分訴えかける音楽であると言えます。
日本ドゥルパド協会は、インドにて長年ドゥルパド修行に研鑽を積んできた日本人ドゥルパド演奏家たちによって、インドと日本の精神文化の音楽における架け橋として、ドゥルパドを日本に紹介すべく設立されました。本場の名演奏家や先生方を日本に招聘してのコンサートやワークショップの開催、インド人演奏家の支援、日本人演奏家による音楽活動/音楽教育活動の支援、またその関連の活動で、インド精神文化の音楽的顕現であるドゥルパドを日本に紹介し広めると同時に深めていき、日印の精神文化及び日印の交流に貢献してくことが、この協会設立の趣意です。
代表理事 Shree(桂真理子)
’81年大阪大学文学部美学科卒(西洋美術史民族芸術学専攻)。
’87年より多くの年月をインドで過ごし、サントゥール・タブラ・パカーワジ・声楽などの北インド古典音楽、サンスクリット語、ハタ・ヨーガ、アドヴァイタ・ヴェーダーンタ思想を学ぶ。
’92年よりダーガル流派のドゥルパド声楽をリトウィック・サンニャル教授に師事、現在に至る。
そのほか、声楽の巨匠故ウスタド・ジア・ファリドウッディーン・ダーガル、その甥のルドラ・ヴィーナー演奏家ウスタド・モヒ・バハウッディーン・ダーガル、グンデーチャ・ブラザーズの指導も時々仰ぐ。
2016年Pt. リトウィック・サンニャル師をインドより招聘、グルクール・ドゥルパド・キャンプ主催。
日本及びインドその他の国々にて、ドゥルパド声楽のライブや各種ヴォイスワークショップ、四半世紀に及ぶインドの旅からやって来た「魂のうた」やキールタン、 ドゥルパド声楽教室、ユニットBhogiYogi Nirvana Express、BhogiYogi Ananda Express などで活躍中。
HP: http://norishree.com/Shree/shree.html
理事 笠原直人
略歴:学生時代に哲学的な興味からシュタイナーに傾倒し、シベリアでの滞在などを経て2003年からカヤールの手ほどきをT.M. Hoffman師に学ぶ。2004年渡独、Jugendseminar Engenに滞在し、アントロポゾフィー運動の裾野に触れる。2006年から2009年にベナレスに滞在し、カヤールをPt.Pashupatinath Mishra師に学ぶ。2011年、2014年にフィンランドの歌の学校に滞在しアンカヴァリング・ザ・ヴォイスを学ぶ。2016年からムンバイ在住。ドゥルパドをShri Chintan. M. Upadyayに、カヤールをPt. Ajay Poahankar師に学んでいる。
理事 すずきなお
’05年初渡印。’06年北インド最古の古典音楽ドゥルパド声楽家Pt. Ritwik Sanyalの歌に感銘を受け、’08年より師事。’16年、ドゥルパド界最大級の音楽祭「ドゥルパド・メーラー」(インド・ベナレス)に日本人声楽家として初の出演を果たす。ドゥルパド声楽の他、カタックやオリッシーダンスなど、インド古典舞踊の伴奏歌手も務める。
また、自身のブランド「kirana」を立ち上げ、伝統的な手仕事を日本に紹介すべく、インドの布を用いたバッグなどをデザイン製作し、布小物作家としても活動している。